多くの教師が,多忙感に悲鳴を上げている大きな要因である,現在の部活動顧問制度。
部活動が職務かどうか,また職務命令ができるのかどうかの議論が盛んです。
この件を考察するにあたっては,教員にとっての『部活動』という言葉を
『部活動の顧問』と『部活動の指導』
に分けて考える必要があります。そうしないと本質に迫ることができません。
まず『部活動の指導』が職務命令できるかどうかです。
超勤4項目より,
○勤務時間内 ⇒ 部活動の指導は職務命令できる。
○勤務時間外 ⇒ 部活動の指導は職務命令できない。
これは確固とした法令上の事実です。
真由子先生が文科省に直接問い合わせた結果も同じでした。
しかし,逆に言えば,例えば勤務時間中に校長から
『今,顧問の先生が出張中だから,ちょっと陸上部の指導をしてきてくれない?』
という命令を受ければ,陸上部の顧問でないとしても,
部活動の指導をしなければならないということになります。
(実際そのようなことは,あまりないでしょうが。)
では,『部活動の顧問』の場合は職務命令できるのでしょうか?
勤務時間内の『部活動の指導』は職務命令できるので,
『部活動の顧問』も職務命令できるような気がします。
しかし『部活動の顧問』は職務命令できないと私は考えます。
もう少し正確に言えば,部活動の顧問の職務命令は妥当ではありません。
(事実,私は部活動の顧問を拒否することができました。)
下の図をご覧下さい。
図のように,保護者や生徒,校長の求める『部活動の顧問』とは,
『勤務時間外の指導』が必ず含まれます。
実際には,練習試合の打ち合わせ,保護者への連絡,中体連役員の業務…など,
部活動の顧問という役割には多岐にわたる負担が強いられます。
『部活動の顧問』を職務命令するということは,
これらすべての項目を職務命令するということです。
(鳥居裁判の判例 ~包括的職務命令~より)
まとめると,こうなります。
●職務命令できる ⇒ 勤務時間内の部活動の指導
●職務命令できない ⇒ 勤務時間外の部活動の指導
●職務命令できない ⇒ 部活動の顧問
部活動の顧問は,勤務時間外の部活動の指導を含みますので,
『部活動の顧問をせよ!』
という職務命令は,超勤4項目違反。職務命令は妥当ではありません。
(※高校などで,勤務時間内に十分な部活動の指導が可能な場合は別です!)
『部活動の顧問は職務命令できない。』と明言している自治体もあります。
ぜひ,所属する自治体に確認の電話をかけてみて下さい。結果も教えていただけると嬉しいです。
『部活動の顧問』と『部活動の指導』を分けて考えると,
部活動の顧問制度の問題点の本質に迫ることができると思い,記事を書かせていただきました。
いつもご閲覧ありがとうございます。
※注意※
もしも,『部活動の顧問は職務命令できる。』と回答した自治体があれば,
その自治体では無理に『部活動の顧問を拒否する』ということはしない方が無難だと思います。
コメント
コメント一覧
コメントありがとうございます。
具体的でとても有効な案だと思いました!
そのようになるためにも,まずは
『部活動の指導は,学校外に任せる』という,行政側のリーダーシップ(というかむしろ命令)が必須です。
残念ながら,文科省にその気はあまりなさそうに感じますね…。
教師の中には『部活動を指導したい』と熱望する人もいます。
その方たちもうまく生かされるようなしくみができるといいなと思います。
高校も勤務時間内に指導なんかとてもできませんよ。
活動時間,長いですよね。
もちろん,中学校でも高校でも,自治体や学校によって,活動時間が異なりますので一概には言えませんね。
とある高校教師さんの勤務する学校であれば,勤務時間後に2時間の活動時間が習慣化しているので,顧問拒否はできそうですね。
もともと、教科指導がしたくて教員になったのですが
平日の放課後も土日もすべてが部活動に消えていきます。
大会等の手続きも煩雑で、参加申し込みにも起案や校長印申請などが付いて回り
授業準備や研修課題も終わるまで帰れません。
部活がやりたくて教員になった人々は、「なりたくて就いた仕事だろう!」と言います。
研修指導の先生は「部活ばかりやって他のことができていないじゃないの」と怒ります。
部員は「先生は何もやってくれない、中学では活動時間中はずっと先生がそばにいたし、
指導もしてくれたし、必要なものも全部手配してくれたのに」と言います。
学力的には低い学校なので、もっとフォローアップのプリントなども作りたいのですが
部活に気力も体力も吸い取られて何もできません。